ある「 」のはなし

この世に永遠なんてない。そう思ったときに初めて永遠はできたんだ。
この世に平穏なんてない。そう思ったときに初めて平穏はできたんだ。
 
ボクが壊れ始めたのは、二年前。
 
その時のボクは誰かを夢中で好きでいられた。何かに夢中で取り掛かれた。
そして、完全なる勧善懲悪でもあった。
不正をおこなう者や礼儀知らずは大嫌いで。
何かあるといつも頭にきていた。
 
馬鹿だったんだよ。つまり。
まぁ、そこまでなら良かったんだ。
 
振られたんだよね、好きだった人に。
確か丁度この時期だったはず。今でも割りと鮮明に覚えてる。
 
その時思ったのはね。
「大事な人が、いなくなった」っていう悲しみと、自分自身の不甲斐なさ。
まったく、馬鹿だよな。
 
”そう思ったときに、大事な人は生まれたんだ。”
 
それからだね。壊れたのは。
Darknessな思想をせざるを得なくなって。
そんなものにしか生きる術を見いだせなくて。
 
・・・気付いてみたら、いろんなものが、消えていた。
 
”そう思ったとき、”
 
ボクは、全てを、諦めていた。 生きることも。 死ぬことも。
 
だから今ここにいて、だから今壊れてる。
 
直さないで。まだこの感傷に浸りたい。 触らないで、この心に光はいらない。
たった一つの欠落で、ボクは。
 
 
セカイはこんなにも平穏で。 セカイはこんなにも、カオスだ。
 
知らない間に心に芽生えた、知らずにはいられない空虚な心。
 
これは、あるココロを失った、平穏な街の、一つのセカイのおはなし。