叫び

「死にたい」なんてのはただの口実。
死んだら逃げるどころか何もできなくなるんだからね。
「死にたい」っていうよりは素直に「逃げたい」って言えばいい。
死に安息を求めるにはまだ早い。
 
 
肉体に刃を向けるのはいつだってできる。
薬をやって精神イくことだっていつだってできる。
そうなってどうにもならなくなる、その前に今がある。
今は、その時か?
 
確かに希望だとか、夢だとか。
信用ならないものである気もしなくはない。
だからって。
死を求めたり、一時の夢幻を求めるのは間違いだ。
普通に生きてこそ見える、明日がある。
それを、忘れてはならない。
 
 
……そんなの、分かってる。痛いくらいに。
 
いつだって、さ。
押し与えられたものを素直に受けとめてきた。
肥料と題した糞を、否定もせずに受け入れてきた。
だから。
―だから!
中途半端に育った勇気に、生半可な自制心が育った…!
嫌といえず、流れで肯定せざるを得ない、そんな腐った精神が見事に出来上がったさ!
 
NOと言えないから。
自分を否定してきた。
そしたらいつしか歪んだ。
それでも否定し続けた。
そしたら壊れた。
 
偽善を振る舞い、好い人を演じ、誰かに好かれるのをよしとしていた自分が、180度変わったよ。
その分、どうしようもなく、腐ったけれどね。
 
 
綺麗事は、嫌いだ。
それ以上に、自分が、嫌いだ。
 
 
何にも出来ないまま、何もしないまま、身体は大きくなった。
何にも出来ないまま、何もしないまま、月日だけは流れた。
 
14年もの歳月をかけてノックし続けたのに。
扉の奥の主は、開けてくれないままだ。
 
いつまで、寝てるんだよ。
もう太陽は数えきれないほど昇り、そして、沈んでった!
それなのに、アンタは。
いつだって、第三者の視点からしか見てないじゃないか。
…ボクはっ…!
アンタの怒ってる顔も、泣いてる顔も、そして、笑ってる顔も!
一度たりとて、見たことがない!
 
 
…答えてよ。
…答えてよ。
 
涙に文章を書かなくて、いいからさ。
…答えてよ。
 
開いてよ。
…開いてよ。
その無言に全てを込めなくて、いいからさ。
…開いてよ。
 
 
歪んだから?
壊れたから?
 
じゃあさ。
どこで直せばいい?いつ直せばいい?!
 
過ぎた日は戻らない、失ったものは還らない!
奪い取ったものだけが、燦々と輝くだけなんだよ。
…それが、世界なんだよ。
 
与えられたものは全部輝かないものだった。
奪い取るためのハウツー本なんてなかった。
奪い取るための方法を教えてくれる環境なんてなかった。
 
そして、一人取り残された。
 
絶望?違うね。
勝手に作った蜃気楼さ。
…消えない、蜃気楼さ。
 
 
ノックし続けるこの手が、うっすら消えかかっている。
もう、限界なのかな…。