豹変

気づいてみれば今週も終わりである。
そんな日々が続いている。
いつまでも続いてほしい気もするし、どこかで終わってほしい気もする。
長期休暇なんてそんなもんかね。
 
 
横浜。
オシャレさんと欲張りさんの街。
無数の光と人ごみの街。
自分は、そんな空気が好きだ。
改めて考えてみるとそう思う。
 
人ごみは好きではない。
だが、ひとりぼっちよりかは遥かに好きな気がする。
混沌のなかで眠っている方が、気も楽だしね。
 
ふと見渡せば見知らぬ顔が溢れかえっている。
楽しそうな顔、忙しそうな顔、不満げな顔、気まずい顔…。
様々な個性を肌で感じられる。
つまりそれは、それだけの生き方があって、それだけの未来と希望があるわけだ。
さらに言い換えればそれだけの過去と絶望もあって、それだけの死にかたもある。
「みんなちがって、みんないい」とはよく言ったものだ。
 
 
この間私学展の手伝いをしていて感じたことでもあるのですが。
建造物、あるじゃないですか。
あれって見てわかる通り様々な部品から一つの「建物」としての意味を作り上げている訳じゃないですか。
それはもちろん自分たちも一緒で、自分たちも何かの意味を作り上げるためにいると思うんですよね。
よくマンガの悪役が「〜のために、消えろ!」みたいなこと言うじゃないですか。
そう考えると、必ずしもその台詞も間違ってはいないと思うのですよ。
…もっとも、そんなの単なるエゴですが。
 
何かを作り上げる、というよりも、何かを「する」、といった方がより適切でしょうね。
作り上げることに意味をなす人がいるならば、その建造物を壊すことに意味をなす人もいるわけですから。
どちらにしても、「何か」を作り上げることに変わりはないのですが。
「する」と言った方がわかりやすいですしね。
 
 
話は戻りまして。
 
横浜には…いえ、人の集まる場所には、生々しい温度と温もりがあります。
時々冷たさや刃物も感じますが。
そういったものに触れていられることに、ありがたみを感じます。
 
一人一人がドラマの主人公な訳ですから。
その主人公たちを肌で感じられるのは光栄なわけです。
未だ主人公と気づかぬ主人公、今をときめく主人公、荊の道を行く主人公、旅を終えた主人公。
様々な主人公が、すぐ近くにいるものです。
 
様々な苦悩や、様々な出会い、様々な幸福を得てきた、様々な人々。
そういった人々に囲まれて、嬉しく思ったりします。
その人のドラマを感じられることが、嬉しかったりもします。
 
 
そんななかで、自分は。
やっぱり人と同じように、自分らしい幸福と苦悩を得てきたわけです。
誰にもわかってもらえない、誰にでもある幸福と苦悩をね。
…嫉妬ですよ。
自分に持ってないものを持っている人がわんさかいる。
その度に嫉妬したりして。
その度に悲しくなったりして。
誰にでもある、誰にもわかってもらえない、理想と現実を、常に感じる。
 
 
ああ、また日が暮れる。
今夜は月が見られるだろうか。
しばらくご無沙汰だったしなぁ。
もし会えたら、この悩みを延々と聞いてもらおうかしらね。
 
 
今週も、もうじき終わる。
終わってほしくない、夜が終わる。
今日も、また一人思う。
始まってほしくない、闇が始まる。