泡沫

泣き濡れた 空に堕ちた
雛のように 浅く眠る
静寂が 髪を揺らし
永久(とわ)の闇が 誘う涙色
 
もう覚めない 永遠の夢
惑う船 砂山を漕いでゆく
 
まだ果てぬ 夜明けは何処?
浮かぶ 嘘描いた蜃気楼 何故?
もう戻れぬ 蒼の午前2時
なら せめて 抱いて
 
 
満ち満ちた 月が浮かび
地の果てでは 星が踊る
忘却が 頬を撫でて
常識さえ 危うい泡沫
 
ねぇ このまま堕ちていきましょう?
揺らぐ生 鼓動が減速する
 
あの日から 時は流れ
塞ぐ 壊れそうな感情 何故?
もう帰れぬ 夕焼けの港
なら 漕いで 揺れて
 
 
紅は昇らない 暁は来ない
もう 光に触れられない 一瞬さえ
広がる赤と黒の優しい悪夢だけ
冷たく包み込む空
 
 
まだ覚めぬ 明日は何処?
失せる 人としての温もり 嗚呼
もう歌えぬ 群青の涙
なら せめて 抱いて
 
 
お願い
 
 
泣き止んだ 空に消えた
淡い色の この泡沫
この泡沫