空っぽの器、溢れる涙

泣く。
それはあからさまなまでの意思表示。
 
それは、誰かに同情すること、誰かの特別になること。
 
ボクは、誰か一人が幸せになって欲しいなんて思ってなかった。
ボクは、皆が幸せになれば良いって思ってた。
その考えは徐々に変形し、加工され、長い時間を経て・・・。
 
―そして、歪んだ。
 
救う人なんて誰でも良くて。
誰かの為になれればそれで良くて。
個人のためではなく、"人"であれば何だってよかった。
きっと、罪人でも。
 
誰かの特別になるのは怖い。
ある人だけのためのボク、なんて考えられない、考えたくない。
最初に人を泣かせた時から分かってたんだ。
―あぁ、人を愛してはいけないんだ、って。
 
もう、誰かを愛してしまったのかもしれない。
ならば、それは過ちだ。
人を悲しませてはいけないから。
人を―失くしたくないから。
 
永遠も、刹那も。
時間と言う概念を省けば何の意味も成さないもの。
愛とてまた然り。
―そこに、寛容がなければ意味を成さない、ただの音と化す。
 
"人が良すぎる"と言われた。
違う、これは寛容でも愛でもない。
単に、主観的に視ないようにするためなんだ、これは。
大切だ、なんて思わなければ、傷つくことも、悩むことも無いから。
 
―そう、自分に言い聞かせる。
 
苦手だ、人間なんて。