偽善

「何が善だ、何が人の為だ。俺が本当の善行を見せてやる」
それが本当の偽善者。
「これが皆の思いだ、だからやった」
それが本当の偽善者。
「皆のことを思ってやっているんだ」
それが本当の偽善者。
 
善だとか悪だとか。
そんなんどうだってよくて。
プロレタリア文学の読みすぎだ。
自分たちが良ければそれで良いのか。
やはり人間は人間なのだな。
自分の為にしか行動を起こせない、行動しない。
自分たち基準というのは、行き過ぎた他の思想を修正することができるが、自分たちの基準でしかなく、万民に共通するものではない。
自分たち基準というのは、つまりは「自己中心的思想」以上の何物でもない。
そもそも「思想」なんて自分の経験からしか発展させることができないのだから、それが「絶対」であることはまずあり得ない。
「絶対」を求めるなら非情なまでの客観性だけを求めるべきだろう。
皮肉にも間接的に科学を肯定してしまうわけだが、本当に「万民の救済」を求めるなら、それしかないであろう。
 
偽善者として恥ずかしげもなく善を掲げるよりかは、正義に背いてでも愛とやらを貫いた方がサマにはなる。
所詮愛や友情とて自分あって成り立つもの、自分の心あってのもの。
不安定なものに縛られるくらいなら、非情な精神にすがりつく方がよっぽど建設的と思う。