Re:member

妹の運動会なので二年ぶりに小学校へ。
 
二年前に見た景色とはまるで違っていた。
もっとも、変わったのは主に自分なのだが。
 
 
…不意に小学校時代を思い出した。
目に見えるものすべてが大きくて。
恐怖かも、憧れかもわからない、そんな目線で見つめていた世界。
 
 
たかだか四年ほどだ。
それなのに、視点は驚くほど変わっている。
目に見えるものすべてが小さく見えて。
驚愕かも、失望かもわからない、そんな目線で。
今座っている遊具すら、小さく、脆く見える。
 
 
視点と目線と。
 
目の位置が違うだけで、世界が変わるなんて。
…なんて、不完全。
 
 
懐かしさは時として、鋭利な刃物となり、自らを鮮やかに欺く。
それは光とともに放たれた暗闇のように。
フラッシュバックとともに全てを消し去ってしまう。
 
 
 
視点と、視線と、目線と。
 
いつかまた、この遊具に乗るのだろう。
その時、また会えるかもな。
 
 
気づけば長針は一周していた。
だから、今日はこれでおしまい。
続きはいつかまた、光が現れるときに。