Refrain

…身近な人から色々なことを聞いた。
…身近な、世界を感じた。
 
 
ある人は自分を導こうとしてくれた。
ある人は自分を貫くことを教えてくれた。
 
 
まず前者。
 
「また何か暗いラビリンスに入り込んでないか?」
…バレバレだった。
確かに、自分は何かまた同じ迷宮に踏み込んでいた。
それをよしとしていた。
…だけど、それは、違うって。
そう、きちんと教えてくれた。
 
「人に頼ってしまったって構わない」
「それも一つの生き方だ」
 
なんか、軽くなった。
そうしてしまう自分が、嫌いだったから。
 
 
 
昔から、一人でなにもかもやらなければいけない、気がすまなかった。
誰かに頼るのが苦手だった。
気恥ずかしくて、気まずくて。
頼れる人がそこにいても「頼らせて」なんて決して言えなかった。
誰かに頼ることが弱い証拠だと思って。
それを恥ずかしく思うつまらないプライドがここにあって。
 
 
それは今も変わらなくて。
よほど好きでない限りは全然ダメで。
相変わらず人見知りは激しいし、先生に質問にいくことですら躊躇うし、何より、孤独至高主義的なものもあるし。
今だって「馴れ合い」はやや苦手だ。
それでも自分なりに開けてきたつもりではある。
 
心を閉ざしてでも笑顔でいる、なんてことは止めた。
それが美徳と信じてきたけど、そんな笑顔に幸せは訪れない。
だから、ワガママだろうとなんだろうと、自分の気持ちに少しは素直になろう。
 
そう思ってたときに「それも一つの生き方だ」って言われた。
…狙ってたのか?
 
 
 
つぎ、後者。
 
 
今自分は軽音部設立に向けてまあまあ手助けをしてます。
ただもちろん本業は「吹奏楽」。
音楽室を渡すわけにはいかないわけです。
そこで色々部長(予定)は奔走してるわけですが。
やっぱり色々問題とかはあって。
 
 
「ここで諦めるな」
…その人にしては珍しい口調で、ボクに話してくれた。
 
なんというか、信念みたいなものを物凄く感じた。
それと共に、重責に似たものも感じた。
 
…自分は、軽音部設立に関わる団体に、まあまあ通じているように思われる。
少なくとも、顔は知られてるかな…。
 
…だから、そこに関わる人の苦悩を知る機会も多くて。
そこに関わる人の信念を知る機会も多くて。
それを聞くたび、心が苦しくなる。
同情もあるけど、それ以上のもの。
その苦悩を何とかしてあげたくて。
その信念を叶えてあげたくて。
 
腹を割って話してくれた訳だから、少しくらいその人の力になりたくて。
…やっぱり、お節介なのかな…?
それでも、何かできる気がして。
それでも、何にもわからなくて。
だから、悔しくなる。
 
 
…設立させたい。
それは、ボクも思う。
…哀しくなるほどに。
 
 
 
ホントは、泣きたかった。
それでも泣けなかった。
 
泣いてしまうほど弱い人間なのに。
涙腺が緩まないくらい冷たい人間なんだろうか。
それは、やだな。
 
 
せめて。
恋人ができたなら、キッパリ振れるだけの勇気と優しさは欲しいな。
あるいは。
そろそろ過去を忘れてもいいはずなんだけどな。
 
 
 
まだ傷は癒えない。
いつになったら、笑って過去を話せるようになるの…?
いつになったら…。
同じことで泣かずに済むの…?
 
 
ラビリンスからラビリンスに移った気がする。
不安から、悔しさへと。
 
 
負うものはまだ、大きくもなんともないはずなのに。
背負った荷物が重くて、ボクの肩を締め付ける。
それでも背負わなきゃいけないから、無理をして背負う。
だから、笑顔が歪む。
 
 
 
今日もまた一人。
治りきらない傷と、治るのかわからない傷が、キリキリと痛む。
 
失恋と、自己嫌悪。
どっちも経験してるから、更に痛む。
心臓の奥が、熱くなる。
 
 
Refrain.
また、繰り返すラビリンス。