感染

―別に、なんだっていいじゃないか

つぶやいた途端、はてと立ち返る
自分は今、何と言ったのだ?

―別に、なんだっていいじゃないか

なるほど、これほどまで開放的な言葉はない
しかし自分は何故、こう言ったのだ?

―別に、なんだっていいじゃないか

つまりこれは、魔性の言葉だ
人にとりつき、人を惑わす

―別に、なんだっていいじゃないか

考えることがおろそかになる
感じることが鈍くなっていく

―別に、なんだっていいじゃないか

別に、なんだっていいのだ
そうだ、なんだっていい



そうしてまた、僕は思考をやめる