重たい雨

都会の喧騒にさらわれて
渋る心はスクランブル交差点
無機物に飢えたイキモノは
カイロの暖かさしか求めていないようで

誰かに手を差し伸べる勇気が
誰かの手を取ってあげる優しさが
いつ無関心を装う仮面に変わってしまったのだろう

スピーカーから聞こえる歌手の言葉は
平和を歌うものだけど
両耳を塞がれているはずなのに
なぜか頭に響いてこない
希薄なリアルと冷めた眼鏡が
転んだ人を見つめながら
得体も知れない夜の先を
雨に濡れながら

傘の重さの分だけ地面に引き寄せられているようで

理想とかけ離れた実像に
理想に近づけない不甲斐なさに
苦悩し足掻く自分は何処で見失ってしまったのだろう

「都会は冷たい」と嘆じるココロは
正当を望むものだけど
モラルに縛られているはずなのに
ポケットから手が出てこない
高貴な想いとダメな身体が
汚れた服を見つめながら
踏み出せない明日への一歩を
雨に濡れながら

濡れたコートの分だけ一歩の速さが遅くなるようで